沖縄に赤い屋根が多いのはなぜ?赤瓦に隠された機能とは

沖縄の屋根と言えば、赤瓦の屋根を想像する人も多いのではないでしょうか。

瓦と言えば黒やグレーが一般的ですが、なぜ沖縄の瓦は赤い瓦なのかご存知ですか。

赤瓦には普通の瓦とは違う機能があり、沖縄の風土とあっているからなのです。

赤瓦に隠された機能とその作り方を見ていきましょう。

1.沖縄の屋根に赤瓦が多い理由

首里城や昔ながらの民家、デザイン性を重視した家に赤瓦が使われています。

見た目も美しい赤瓦ですが、使われているのには理由があります。

・台風対策

沖縄は毎年必ずと言っていいほど台風の被害を受けます。

屋根の瓦が飛べば雨漏りはするし、飛んだ瓦によって別の被害が起こります。

そこで2種類の赤瓦と漆喰の利用を考えたのです。

2種類の赤瓦とは男瓦と女瓦と呼ばれる瓦です。

女瓦を垂直に葺いていき、その間に男瓦を葺いて雨水が屋根裏に落ちないようにします。

さらに、漆喰を男瓦の側面と隙間に塗ることで固定して、瓦が飛ぶことを防ぎました。

葺くだけの瓦とは違い、固定することで台風の被害を最小限にとどめています。

・湿気と暑さを凌ぐ

沖縄は強い日差しにより家の中の気温が上がります。

黒い瓦の屋根だと熱を吸収してさらに暑くなってしまいます。

赤瓦の特徴として挙げられるのが、吸水性と通気性が高いことです。

当時は木造の家が多く、湿気によるシロアリ被害もありましたが、赤瓦を使うことで木の屋根の湿気から守っていました。

さらに、黒い瓦よりも熱を吸収せず温度上昇が和らぐため、赤瓦を使っています。

2.どうして赤い瓦ができるのか?

瓦と言えば黒く仕上がるものと思いますが、どうして赤い瓦が出来上がるのでしょうか。

沖縄独自の瓦の作り方を見ていきましょう。

・地域特有の泥岩「クチャ」

瓦を作るためには粘土が必要です。

沖縄で取れる「クチャ」という泥岩を使って粘土を作ります。

クチャは泥パックとして使われているミネラルを豊富に含む泥です。

鉄分を多く含んでおり、酸化することで赤くなるため、酸化焼成という方法で焼き上げて赤い瓦が生まれます。

・赤瓦の作り方

赤瓦の材料はクチャ80%と赤土20%の割合で配合した粘土を使います。

練り混ぜて寝かせた粘土を成形した段階ではまだ黒色です。

成形後数ヶ月乾燥させると色が白く変化します。

十分乾燥した瓦を約1050℃の熱で数日間焼くと、鉄分が酸化して赤くなり、赤瓦が出来上がります。

3.赤瓦の歴史と現在

赤瓦が特徴的な首里城も、最初に建築されたときは黒い瓦を使用していたそうです。

赤瓦はどのような歴史をたどってきたのでしょうか。

・昔は庶民の憧れだった赤瓦

赤瓦が使われ始めたのは17世紀後半頃から、当時火災で焼失した首里城を赤瓦で再建しました。

当時の最先端の技術で高価であることと、赤色は高貴な色であることを理由に、琉球王府が庶民の赤瓦の使用を禁止していました。

明治22年以降から庶民も赤瓦を使えるようになりましたが、まだまだ高級品であったため、赤瓦は庶民の憧れだったようです。

・沖縄の赤瓦の現在

現在の沖縄でも赤瓦を使った建築物は多いです。

昔ながらの家ではなく、公共施設や商業施設などの景観が良くなるため使用されています。

文化財の修復や現代の建築にも使われるため、これからも赤瓦の需要は増えることでしょう。

まとめ

赤瓦は景観も良いですが、機能性にも優れた一面を持つ瓦です。

沖縄の環境が生んだ伝統的な技術と言えるでしょう。

これからも赤瓦が並ぶ景観を見ていたいですね。